SSブログ

照子さん

照子さん





  スポンサーリンク








 『日本の娘さんが、心の悶えや悩みを西洋の娘のように露骨に現はさないで、

 或は三味線に或は琴にと云う風に、優美な表現形式をとられることは何と云

 う奥床しいことでしょう。』

と、東照子さんが云う。東照子とは露国大使館情報部長補佐テルノスカヤさんの

自らつけた日本流の名だ。

 『東の国に来たテルノスカヤと云う意味で、東照子と申して居ります、わたし

この名が大好きなの。』

                     ◆

『日本語は浦潮の大学で、スパンウヰン博士から教わりました、昨年の八月、当大使館に来ましてから

先づ第一に日本のローマンスを研究する考えで、江口渙さんの『恋と牢獄』とを興味深く読みました、

日本人の心を研究する為には、この小説は大切な鍵となったのです。それで露西亜語に翻訳してモス

コーで出版しましたが、わたしの処女作です。』

                     ◆


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0)  [編集]

nice! 0

nice!の受付は締め切りました

コメント 0

コメントの受付は締め切りました

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
Copyright © 大正・昭和前期の社会相 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。