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廻れ右 一戸大将

廻れ右 一戸大将





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『昔は男女七歳にして席を同じうせずといったもんじ

ゃ、この頃の有様は何うぢゃ、往来で若いものが臆面も

なく手を繋ぎ合う。公園などで連れ合ってふざけ散らす

我輩の青年時代には、ああした態は見たくも見られなか

った』

 いまは明治神宮に仕えまつる一戸大将、剣を解いて

塵外に立つと云うところだ、がその居間の楯間には、東郷平八郎書『治に居て乱を忘れず』の額を掲げて

ある程だから、その心の置きどころは雲表でなく、地上だ。

 もっとも、彼は、全国在郷軍人団の会長を兼ねて居るので若い者の風儀がおのづから眼にもつく、い

かにも苦々しいと云った顔付きぶりである。

               □    □

筆者の会ったのは、彼が赤十字病院を退院した三日目。好きな酒をやめさせられて、薬ばかり飲ませら

れたその苦さが、まだ口の中に残って居る時であったろうが、謹厳で、剛直で、己れを持することの堅

い彼には、今の世態、人情は、薬以上に苦々しいものに相違ない。


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