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救世軍真剣

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『吾等は悪魔と戦いて、勝鬨挙げるまで』ドンドンドン

は救世軍に決まってる。新橋々際に一隊の士官が『天に

まします神様よ』を唱えて居ると一人の魚屋か

 『べら棒め、何が神様だいッ。こちとらコレラで乾上

 ってるんだ、耶蘇が何を言いやがるんだ』

と罵り乍ら通り過ぎる。

 青年士官は振向きもせず、涙もて祈りを続け、『兄弟姉

妹を神の恩寵によりまして、安らけく其日を送らしめ給

え、アーメン』と唱える。彼等は真剣であった。

 一番年下の士官候補生(瀧澤栄次郎君)に刺を通じて先

づ前記魚屋の罵倒の一件から質すと、

 『別に不快にも存じません。私達は神の使命に依って

 伝道をして居ます。あのような方が何うして早く神様

 に救われないのか、それを不幸に思って、ますます努

 力する次第です』


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