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移動床屋 轟く『満洲床』 六区を独占の栄え

移動床屋 轟く『満洲床』 六区を独占の栄え






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 浅草六区へ来て『満洲床』を知らなければ、六区通とは申

されないそうである。

 満洲は此床屋さんの綽名だ。当人の本名は小林喜作と云う

が、其本名を知る人は此界隈には居ない。それ程、満洲の名

が高い。

 満洲を翻訳すれば耳 聾となるそもそも耳の遠い人を『本

所』と呼び、更に遠い人を『千住大橋』と呼ぶのが江戸以来

の通語だ。

 起点が日本橋であるか何うかは判らないが、『満洲』の遠い事は本所や千住大橋の比ではない。兎に角小

林親方は絶対に聾で、耳へ口を当てて怒鳴るのが、丁度吾々の囁きに該当する。

 記者が少年時代に小林満洲と云う同窓が居た。綽名の由来は頭に満洲そっくりの禿があったので、床屋

とは違うが、同性同綽は面白いと思った。

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 さて満洲床は移動式で、夏は木陰、冬は日向、雨の日は軒下と、自由に転々する。貨物船に乗込んでデ

ッキで仕事をする床屋さんと一対だ。

 華客は六区の劇場の道具方、弁士の見習い、下級の役者連で、幕合を見て約束で仕事をする。故に仕事

場は劇場や活動の楽屋口の附近だ。上の役者は彼を楽屋へ通す剃刀二十銭、調髪四十銭は六区内で便利。

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