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栄える『ワンタン屋』 之も不景気知らず

栄える『ワンタン屋』 之も不景気知らず






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 震災直後、蠅と共に叢生した食物屋の多くは、その秋の

蠅と共に又消えた。

 その中に、余命を三年後の今日に持越したものは稀少で

ある。ワンタン屋の如きは其の一つであろう。毎夜芝口際

に姿を見せる一人のワンタン屋を捉えて、震災後の景気談を

聞こうとしたが、彼は昔からのワンタン屋で、震災が産ん

だものではなかった。

 それだけ話が面白いから掲げて見る。此男も新潟県で国

を出たのが十四の歳、前掲の車屋の堀江君も同様、其他に

も未成年で越後から上京して、街頭で戦っている人は沢山あ

る。一杯食べて話を聞くと、

 『いきなり埼玉県の田舎の工場へ、三年間の約束で奉公

 しました。恰度年があけると同時に、あの日獨戦争当時

 で染料暴落の為に主人は破産し、或る華客の織物屋から三百円の小切手を借りて、夜逃げして了いまし

た。 

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