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長い音

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夏の景物は先づ始めが苗売、あれは節廻しの上

手下手で売高が違うそうで、涼しい声で苗の名

をころがして行くと、日除け代りの絲瓜、瓢箪

は、さしづめ誰でも思いつく、夕顔、朝顔、空地があれば胡瓜、茄子まで、つい植て見る気になるものだ

が、やがてじめじめした梅雨が下り、かっと日が照って来ると烏丸枇杷葉湯、それに定斎屋などが、市

中に、真夏らしい気分をそそる。今は、その枇杷葉湯

は殆ど見かけぬようになったが、定斎屋の方はまだそ

れ程には廃れぬようだ。青貝摺りの箱荷を擔いで、抽

斗のカンの音をカッタカッタ云わせながら、これは節廻しの上手下手もな

く、ただ黙んまりで歩き廻るのだから、もちろん、近代のしろものではない。まだ何んなものか飲んで見

たことはないが、一服やったら、江戸の臭いがするだろうと思う。

定斎屋の本家本元は、馬喰町の村田と云う店で、そこの主人に聞いて見ると、何うして由緒は江戸以上

文禄年間、豊太閤、朝鮮 征伐の時に遡る。

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タグ:長い音 定斎屋
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