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就職難

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『就職難』字に書けばたった三字、この三字の中に含まれる意味を演繹すると、進化論

が出たり、人口論が出たりする。物騒な爆発性をもった三字だ。

 ところで鼻の下の黒くなりかかった大学生が四十円でも五十円でもと、先輩知己、

朋友の間をかかぐり歩く惨めさを見たものが、一たび口入屋の門に立つと、これはまた

違った国に行った気がする。

 ずらりとかけならんだ札に、活動弁士見習い入用、別荘番入用、小間使い入用外交員

入用、俳優見習い入用、女中入用、入用、入用で、世の中に仕事がないとは嘘のようだ。

 番頭さんに『何かいい口がありますか。』と聞くと、

『いい口と云ったところで、その人の心がけ一つで、勤め口なら、幾らでもありますよ。』

勇敢に『就職難』一蹴だ。

              [×]    [×]

『毎日、手前共の店で、十七八人は仕事にありついて居ます。七八のふた月は、やはり世間並に不景気で

九、十と秋風が立って来るとずっと忙しくなります。十二月はまた閑で、春になると、目が廻るように忙

しくなります。ええ主人側から二円十銭、雇われて行く方から九十銭の手数料を貰います。』

 『ちょいと番頭さん、』と

 渋川のむけたのが、はいって来て、番頭と何かひそひそやる。

 『では、行って見ようかしら……。』

 『お決めなさい、悪くない口ですよ。』


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タグ:就職難
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